社長挨拶
私の原風景
日本で事業を継ぐ意味
ものづくり企業として、新しい市場に進出すること
私は、日本の製造業の勃興を庭先でみてきた者として、海外の新興国の短期間でのめざましい成長を目の当たりにした者として、この時代、この日本という国で、製造業という業を継ぎ、永続を目指す意味は何なのだろうか?日本の産業史における、事業を持つ家に生まれた者の使命は何なのだろうか?いつもこの問いがあります。私は、新しい製品や、海外という新しい市場へ進出するという強い思いをもって、東海電子に参画しました。
挑戦なくして、未来なし。
「飲酒運転防止事業」は、東海電子にとってはじめての新事業でした。
先代の思い、初期を支えた当時の社員たち、この当時ジョインした意気あるメンバーの情熱があり、幸いなことにはじめの1 機種・1 台・1 社は、いまや10 機種・10 万台・2 万企業という規模に至っています。
これは、小さい企業ながらも新しいことに積極的に挑戦する社員たちの情熱によるもの、そして何より、安全な交通社会を実現するために安全に投資しようというお客様の交通社会への真剣な思いによるものです。
私は、業種は違えども、お客様と当社は、同じ日本の中小企業の仲間同士と考えています。経営者もおそらく私と同年代であろうと思います。運輸業も、製造業も、そしてあらゆる業種の中小企業が、事業や業界を維持・発展させるためには、「挑戦なくして、未来なし」、だということに気づいているのではないでしょうか。私は、お客様と一緒に、この厳しい現実世界を、明るく前向きにとらえてゆきたいと考えています。
東海電子グループとは
当社は2020年10月から、事業承継を機に、株式会社東海電子ホールディングスを事業持ち株会社としたグループ企業体制へ移行しました。
東海電子株式会社・株式会社トライテック・株式会社ネクストリンク、この3社による事業体制は、未来にむけて、より広く、より大きく、なによりも、より永く社会に貢献するためのものです。
これまで東海電子では、「社会の安全・安心・健康を創造する」という企業理念のもとに、飲酒運転防止事業を中心とした単一事業を行っていました。
しかし、飲酒運転や交通事故は、「日本社会」だけで起きているわけではありません。世界を見渡せば、あらゆる国で、悲惨な交通事故が起きています。その数、年間130万人。何という数でしょう。われわれは、日本人の死亡事故を防ぐためだけに事業をやるわけにはいきません。救わなければならない命は、世界中にあるのです。
また、命が失われる理由も、交通事故だけではありません。コロナ禍に代表されるような感染症や、心疾患、脳疾患で失われるいのちはもっともっと多いのです。
「世界の安全、安心、健康を創造する」
われわれは、長らく呼気アルコール検出の技術開発に携わり、いわば「呼気」のプロフェッショナルと言えます。
われわれ東海電子グループは、今後、呼気をつかった飲酒検知のみならず、呼気をつかった体調変化、薬物、病症を検出する研究開発に力を入れてゆく所存です。
世界の安全(事故防止)、安心(やすらぎと幸福感)、健康(未病)を創造するため、東海電子ホールディングス・グループ企業一同、日々技術革新に努めながら、情熱をもって世界の社会課題に取り組んでゆきたいと思います。
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。
代表取締役CEO 杉本哲也
2020年10月1日
いつしか、家業が製造業と言われるものであることを知り、それが下請けと呼ばれる業態であることを知ったのは、20 才の頃でした。この頃には、日本の製造業は人件費の安い海外でつくることが常道とされる時代になり、折しもバブル崩壊直後、下請けという業態がますます厳しくなる時代が始まっていたことに、ぼんやりと気づいていました。
その後、私は技術系の会社に入り、いくつかの海外事業に携わっていました。その中で体験してきたのは、日本の名だたるメーカーが年を追うごとに市場撤退、買収される厳しい競争環境でした。目の前で、自分が情熱を注ぎ、専門性を発揮し、日々の生活の糧を得ていた技術が、どんどん安価な製品や技術に置き換えられてゆく・・。これほど悔しく、寂しいことはありません。結局、私が携わっていた技術や職務は、安価な労働力、安価な技術に置き換えられてしまい、いまは存在していません。
いわゆる、いまで言う「将来消えてなくなる職業」を体験したのです。